蒲の穂

蒲の穂

朝霞に水田がたくさんあった頃蒲の穂なんて滅多に見なかった。初めて住んだ鉄筋のアパートのお隣の奥さんが、蒲は田圃の大敵と言っていた。そして今は朝霞の水田はほんの一握り。みんな埋められて建物が建つか畑になっていて、放置された水辺には蒲が生えている。穂が熟れてくると綿のようになる。もう少しして空っ風が吹くと、その辺り一帯が綿埃に見舞われる。
蒲の穂を他のドライフラワーと一緒に部屋に飾っていて、やっぱりある日ふわふわになって飛んで部屋中ひどいことになったことがある。いつの間にか瑞穂の国が蒲穂国になったみたい。
写真は、全部茶色になってしまった冬枯れの蒲の穂。